原題は"WILD SWANS ~Three Daughters of China" である。著者は中国から英国に渡った中国人のユン・チアン(張戎)。土屋京子訳の1993年1月講談社刊で文庫本化もされている。僕が初めて読んだのはアメリカに赴任して3年経過後、最初の一時帰国時に大和郡山市の本屋で買った1995年1月のことである。米国現法の社長から「おもしろいから読んでみたら良い」と薦められていた本だった。(阪神淡路大震災を体験した後)アメリカに帰る飛行機の中でも読んだと思う。単行本上下二巻を買って帰ったのだが、読んでいて重苦しい文章だった。この本はかなり前に古本屋で処分したのだが、昨年末に隣町の図書館で借りて再読してみた。現在再々読中なのだが・・・
年を重ねたせいか、これが読んでいて意外とすんなり体に入ってくる。昨夏から旧満州や中国に関する書物を読んだせいもあるだろう。著者の祖母が北洋軍閥政府の警視総監を務めた将軍の妾=姨太太(イータイタイ)であったという。Three Daughtersというのは著者・母・祖母の三世代の混乱の中国を生きた女たちの物語。とても興味深く読んだ。清朝末期から国共内戦、中華人民共和国の建国、そして中国共産党の試行錯誤?
それにしても毛沢東はむちゃくちゃなことをしたんやなぁ。「大躍進」とか「文化大革命」とか。その前に第二次世界大戦終結前、旧日本軍は(あるいは移住した日本人の多数も)満州でかなりのことをしていたようだが。大躍進は僕がちょうど生まれた頃、文化大革命は僕が小学生の頃。周恩来死去、第一次天安門事件、毛沢東死去、「四人組」の失脚は1976年の出来事。僕が高校生の頃である。なんとなく新聞の一面で見た記憶がある。中学/高校の社会科で「人民公社」のことを学んだが、それはいつの間にか無くなったんだなぁ。鄧小平が実権を握るようになってからか・・・
読んでいて凄いと思ったのは、著者の母が毛批判の手紙を書いた夫を救うために四川省の成都から北京に行って周恩来首相に面会して陳情したとか、 著者の家族は鄧小平のお母さんと親しく付き合っていたという実話である。そして著者がイギリス留学を果たし、現在の文筆活動ができているのもその母の懸命の(夫の名誉回復のための)活動があったからというのが凄いなぁ。
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