私ごと、まず 3/8 に出演予定だったベートーヴェン "Missa Solemnis" チャリティ・コンサートが「新型コロナウイルス」のため中止になった。公演中止決定の知らせを聞いたのは、演奏会8日前の 2/29(土)の午後2時に集まった練習会場で。時間ぎりぎりで会場に着くと、練習ピアノは部屋の隅に置かれたままで団員が集まっていた。事務局で事前に中止決定がされていて、その説明があり、参加者に同意を求めた。前週までは「何としてでも開催したい」という意向が示され、さらなるチケット販売も要請されていた。ちょうどオーケストラの練習が始まるタイミングだったが、首相からの「大規模イベント自粛要請」もあり苦渋の決断だったろう。
25年前に起きた阪神淡路大震災で親を亡くした遺児たちのサポートをするため、演奏会の収益金を「あしなが育英会」に寄贈するという活動。5年前の20周年で一区切りとして休止していたが、その後の日本各地での大地震、とりわけ東日本大震災から9年を迎え、神戸の震災からも25年という年に、今年生誕250年の楽聖ベートーヴェンの大曲を京都コンサートホールで演奏するため活動を再開したものだ。
僕自身も友人の誘いで第19回の演奏会(ロッシーニの「スターバト・マーテル」ほか)でステージに乗って、今回が2度目だった。6年前は練習中の11月に親友を癌で亡くし、いろいろな思いで1月公演を迎えたものだ。今回は最初、楽天ブックスで楽譜を購入したもののあまりのスケールの大きな曲に躊躇していたが、同じ友人の強い勧誘で決心し、昨年10月から練習をスタートした。当初は同窓会の催しなどのため2~3回は欠席したが、年末年始を含め後半3か月は休まず練習参加した。難しい箇所も自習を重ね、95%は歌えるかな? というところまで到達していたのに…
チケット販売もグリークラブの同期に新年会で売り込み、昔の合唱仲間、前の会社の上司にまで購入してもらい、合計11枚、37000円分も売り上げたというのに… 昨日ようやく最後の一人に代金を返却できた。昔のボスは「チャリティに活かしてほしい」と返金を辞退された。
演奏会キャンセルは誠に残念無念だが、この5ヶ月間で得たものも多い。曲がりなりにもこの大曲を歌い通せるレベルまで到達できたことで自信も深まった。自習では YouTube でクリスチャン・ティーレマン指揮のドレスデン追悼演奏会(2010年)を発見し、これに合わせて練習した。最近、2月にティーレマン=ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲全集が再発売され、BDの4枚目にこのドレスデン「荘厳ミサ」が含まれていたので4枚組ボックス・セットを予約購入した。6500円ほどしたが、圧倒的に画像が美しく、それだけの値打ちがある。
アルトのソロはエリーナ・グランチャ。彼女は僕の久々のお気に入り歌手になった。知らなかったが、現在のオペラ界で引っ張りだこのメゾソプラノ歌手だという。この5月に初来日し、札幌を皮切りに東京、大阪、名古屋でリサイタルを開くとのこと。急遽 5/25 の大阪公演@フェスティバル・ホールのチケットを予約した。いまヨーロッパでのコロナウイルス感染拡大が深刻な状況だが、2ヶ月先には事態が落ち着いていて予定通り来日してくれることを祈るのみである。
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