この週末も土曜の夜と日曜の昼間がコーラスの練習で忙しかったのだが、両日とも練習前に美術館・博物館に行った。
順序が逆だが昨日4日(日)は奈良国立博物館で開催中の「生誕800年記念特別展『忍性―救済に捧げた生涯―』」を見に行った。じつはこの忍性さん~良観坊忍性と(忍性菩薩とも)いう立派なお坊さんなのだが~僕が今住んでいる町に生まれた人なのだ。7・8月のあいだ、家で2階の部屋にいると、町の広報車が「忍性さん」のことを触れまわっていた。記念事業の一環かなぁ。展覧会は「信貴山縁起絵巻展」の時にチラシで知って気になっていたので、金券ショップで入手していた。他の美術館の会員カードで優待があるのだが、それより安く経済的合理性が優先。
近鉄奈良駅に着いたのが午前10時過ぎ。博物館までは奈良公園沿いにだらだら坂を15分ほど歩くのだが、途中で多くの(見た目と話している言葉でそれとわかる)中国人観光客を見た。奈良名物のシカにえさ(鹿せんべい)やりをしたり、スマホで記念撮影をしたり。小さい子供を連れているファミリーも結構いる。僕としては彼らにぶつからないように日陰でも暑い中、博物館に急いだのだが… この分では東大寺あたりも中国人観光客でいっぱいだったんだろうなぁ。国立博物館は東大寺のちょっと手前だ。
さて、博物館の中はそんなに混んでいなかった。忍性菩薩像や文殊菩薩像などの展示品を見る。書状や経典などは国宝級のものが結構ある。丸い水晶を使っている舎利容器なんかも国宝だ。今から700年以上前の鎌倉時代のもの。忍性没後、遺骨は縁の3つの寺に分納されたという。大和郡山の額安寺(かくあんじ)、生駒の竹林寺、そして鎌倉の極楽寺に伝わる「骨蔵器」は見事なものだった。額安寺はじつは家からそう遠くない場所にあり、通勤時に車内からその案内板をよく見るのだが、まだ訪れたことがない。
展示品といえば唐招提寺に伝わる鑑真和上の「東征伝絵巻」が大きく展示されていた。そして解説も中国語(簡体字)表記もあった。そうだよなぁ… 日本の奈良時代、失明するほどの苦労をして律宗の偉いお坊さんに中国から船で渡ってきてもらったんだから… その鑑真を讃えて鎌倉にいた忍性が絵巻物全5巻を唐招提寺に納めたというのだ。残念ながら中国人らしい観覧客は館内であまり見かけなかった。
その日の夕方、京田辺からの帰りの電車でも中国人の家族を見かけたのだが、奥さんがスマホで日本地図を見ていた。この頃は「爆買いツアー」ではなく、こういった個人・家族単位で観光を楽しむ中国人が増えたんだなぁ、と実感した次第。もちろん、欧米、韓国・台湾の人もいるけど、圧倒的に大陸の中国人のプレゼンスが大きいですね。え~っと、個人的趣味では南方系の顔立ちの人の方が好きです。自分自身がソレ系だからかもしれない。オレゴン州で英語を勉強していた時に、大学で研究していたのであろう中国人に "Excuse me. But are you Chinese?" と尋ねられた経験がある。30年前の1986年のこと。時代は変わり、政治の世界はともかく、個人レベルでの日中関係も変わってきたことを実感している。
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