いよいよ北新地のバーの話。9時ごろに店に行くと、アルバイトの「のあ」ちゃんがいるだけで他に客はいなかった。黒っぽいドレスを着た彼女は大阪の某私大4年生で、金曜日と他の日にも入っているのだが、何度か店でしゃべったことがある。とりあえず僕の芋焼酎のボトルを探してもらうが、すぐには見つからない。な~んだ、棚の上のそのタイプと僕が言ったボトルそのものが僕のだった。彼女もようやく就職が決まり(去年話したときはまだだった)、なんとか必要単位ぎりぎりで卒業できる、とのことだった。めでたし、めでたし…
そのうちママ(じつは僕より一回り以上若い30ウン歳)が黒いスーツにメガネ姿で出勤。去年店に来たとき「夜の稼ぎではやっていけないから昼間は『生保レディー』として働いている」と言っていたなぁ。トイレの方に行ったのでドレスに着替えるのかと思いきや、そのままのスーツ・メガネ姿で再登場。まもなくオジサンとその奥さん、娘さんらしき3人組が来店した。北新地で普通、そんなんないでぇ…と思ったが、ママの両親をよく知る家族らしい。奥のコーナーへ通された。僕もママと同郷なのだが、店に来てから知ったことだ。
僕はカウンター席の端でワインの空ボトルが入ったラックを眺めながら「原酒たちばな」を飲んでいたが、奥の席から聞こえてくる話から、ママは婚活に成功→妊娠した→もうすぐ入籍→7月に出産予定、というのが耳に入ってきた。旦那は福島県出身なのだが単身赴任生活となり、結婚式はこどもが生まれてかららしい。大震災の影響でかの地では結婚式が延期され、披露宴会場は満杯らしい。これはマスコミで報道されない事実かも… というわけで寿閉店ということだ。
金曜日とあって、店には常連さん?たちが入ってきた。まず3人組、続いて2人組がカウンター席に座る。みんな僕より若い連中で、40歳がらみの会社経営者(社長)とその取り巻きみたいな感じ。僕としてはあまり居心地が良くないのだが、適当にのあちゃんと話をして時間が過ぎる。前の店であまり炭水化物をとらなかったので、おかき類やチョコレートをかじりながら芋焼酎をロックでやる。最後にはビーフ・ジャーキーまで出てきた。
店には2時間ぐらいいただろうか? お客さんが一組、二組と帰り始めて「俺も帰るよ」と暇乞いをする。こういう店は帰るタイミングが難しいんだよなぁ。そうだ、「もう来週の閉店まで来ないからボトルを持って帰るよ」とママに同意を得る。この店(バー・カウンター)の雰囲気も好きだったが、この「たちばな」にも想い出があるのだ。ブログを振り返ると2010年6月初旬は独りで店を貸し切り状態だった。そのときの女の子は「なっちゃん」。ボトルに芋焼酎が半分ほど残っているのを鞄にしまう。そしてママがエレベーターで階下まで見送りに出てくれる。
通りに下りて別れ際に、躊躇したがこれまでいつもそうだったようにHUGして別れる。「これが最後だから。」 たしかにお腹が少し出てきているよ。彼女にはこれまで交通事故(タクシーに乗っていて追突された)とか病気(子宮筋腫だったね)とかいろいろあったんだから、どうかこれから幸せな人生を!! でも、彼女はとにかく僕の気持ちなんかお構いなしにHAPPYなんだよなぁ…
僕は振り返りもせず、想い出の詰まったボトルを鞄にホテルまで独りとぼとぼと歩いたのでありました。北新地に来ることももうないかもしれないなぁ…
(このシリーズ、おわり)
なるほど。バー”Y”の閉店理由については了解。不況→売上不振→閉店という流れではなかったんだ。それにしても、ダブルワークとは大変。
>北新地に来ることももうないかもしれないなぁ…
(長嶋監督風に)さぁ~、どうでしょう。君のことだから、また何処かいい店を見つけてくるんじゃないの?
投稿情報: つのぶえ | 2012年3 月13日 (火) 13:21
彼女、出産後は生保レディーに復帰するそうだ。
資格とかとって結構続けられるみたいだが、バイタリティーあるねぇ。
投稿情報: inukshuk | 2012年3 月13日 (火) 17:35