ネットで見たところ、ポールは今年の春に新しいアルバムを発表し(最近はフォローしていなかったなぁ)、この秋にコンサート・ツアーをやるというから元気なものである。1941年10月生まれだから、もうじき70歳「古稀」だ! 写真では「小太りのおじいさん」に見える。でも、声はあまり変わらないのが不思議…? 自分もそうなるのだろうか?
話は1973年、僕が15歳、彼が32歳頃(若いね!)にさかのぼる。ポールがS&G解散後2枚目のアルバム "There Goes Rymin' Simon" 『ひとりごと』をリリースし、僕は八木西口のレコード屋さんまで買いに行った。
このアルバムからは、まず "Kodachrome" がシングルカット。アラバマ州のスタジオで録音されたというこの曲の軽快なリズムには驚いた。ラジオでもヒットしたのだが、曲名もそうだが歌詞にも「コダック」フィルム、「ニコン」カメラが入っているのでNHKではかからなかった… 同じアルバムに入っている "Take Me to the Mardi Gras" もアメリカ南部の不思議な香りがして、僕のアメリカへの憧れは募る。そして、
"American Tune" 「アメリカの歌」は優しい歌い出しで始まり、途中から弦楽オーケストレーションが入る素敵な曲だ。後に詳しく知ることになるのだが、冒頭の素朴なメロディーはドイツの古い賛美歌にもとづき、バッハも「マタイ受難曲」で使っているものだ。この当時、クラシック音楽の「対位法」を勉強した、と彼が雑誌か何かに語っているのを目にしたことがある。
問題はその歌詞。ポールの自作で当時の「悩めるアメリカ」を歌っているが、中学生にとっては単語は理解できても全体の意味は難解だ。「自分が死んで、その魂が自分自身を微笑みながら見おろしている」「自分が上空から『自由の女神』が海にむかって出てゆくのを見ている」夢を見たとか… LPに入っていた歌詞の対訳を小学館の雑誌『中学三年生』に創作として投稿したバカな奴がいた。それを見つけた僕はすぐにでも東京に電話を架けたかったが、当時の長距離電話は目玉が飛び出るほど高かったので葉書で投書した。他にもたくさんの通報があったのだろう。たしか翌月号では受賞の取り消しが発表されていた。
こんなことをいつまでも憶えているって、「不正を憎む」僕の性格なんだろうか? かっこよくいえば…
Kodachromeの軽快さ、Loves me like a rockの皮肉、American Tuneのアメリカンフォークっぽさ、、、。今になって思うのですが、持ってるものを全部並べているようで、実は全部仮面であるようで、、、、タイトルとジャケットが実に彼らしく、また謎めいてますよね。
S&Gのold friendsの中に、「how terribly strange to be seventy」という一節があったと思いますが、Paulは今どう感じているんでしょうね?
投稿情報: 平田陽一 | 2011年9 月19日 (月) 17:13
そう、70歳になろうとする今、彼はどう感じているんだろう?
ところで、アルバム "BOOKENDS" のなかの "Voices of Old People" って、初めて聴いたときびっくりしませんでした?
あっ、今日は偶然にも「敬老の日」でした。
投稿情報: inukshuk | 2011年9 月19日 (月) 18:15