昨夜のETV「N響アワー」で取り上げられていた。「永遠の名曲たち」というシリーズで、解説を挟みながら全曲が放映された。1888年の初演では不評だったらしい。いわく、
死者が審判を受ける場面の「怒りの日」の(Dies Irea: モーツァルトやヴェルディのレクイエムで有名だが)ドラマティックな楽章がない。とか、最後の楽章(In Paradisum: 天国にて)が「おまけ」 のようにくっついている、とか云々かんぬん… しかし、全体を通して静かな祈りの気持ちに貫かれていて、ソプラノのソロによる "Pie Jesu" はそれこそうっとりと聴き惚れる曲である。どうやら、フォーレ自身の亡くなった母や父に捧げる気持ちが強く表れているのでは…ということだった。
放映された演奏はシャルル・デュトア指揮の2004年1月、サントリーホールでの公演。ソプラノ・ソロ(天羽明恵)は階上のオルガンの奏者の横で歌っていた。合唱は二期会合唱団の皆様。濃い表情で歌っているなぁ…
じつはこの曲、我々京都の合唱団が来年の演奏会で取り上げることになっている。ちょうど、昨日の午後、初めての練習があったところだ。アンサンブルの練習をしてみると、フォーレの絶妙なハーモニーの移行が感じられる。マエストロ桑山の練習では、和音の鳴り具合が厳しくチェックされ、改めて和音の構成が<<どのパートが根音で、どこが第3音、第5音、第7音といった具合に>>確認される。
これは新鮮だった。だって、今まで20代、30代、40代と奈良の異なる合唱団で少なくとも3回はオーケストラとこの曲を歌ったが、「とにかく音がとれればよい」とか「とりあえずハモっていればよい」という世界だったから… 「第3音はピッチを高めに薄くはめ込む」なんて聴いたことが無かった(嗚呼)。しばらく、この曲の練習は休みとなるが、テナーの美しいメロディーもあるし、来年7月のいずみホールでのステージが楽しみである。乞うご期待!
N響アワー、毎週観ていますよ。貴兄もでしたか。
フォーレのレクイエムが当時そんなに不評だったとは、N響アワーで初めて知りました。学生時代から好きだった曲だったものでして。それを歌える貴兄が羨ましいなあ。
ところで、天羽明惠さんは、小生、森麻季さんに次いで好きなソプラノです。タイプはまったく異なりますが。天羽さんは高い声がそうきれいではないですが声量がなかなかのもの。またリサイタルの時の話が非常に面白い人物ですよ。以降、ご贔屓に願いたく、よろしくお願いします。
投稿情報: カツオ | 2011年9 月 5日 (月) 22:56
フォーレのレクイエムではDies irae の楽章がない、とのことだけど、ホンマやなあ。スコア見たらそうやった。でもテキストとしてはほんの少しだけどあるな(第6楽章Libera me の中)。
でも、この曲を演奏するなんて実に羨ましい。アマオケにいたら、一生できないだろうな。
投稿情報: つのぶえ | 2011年9 月 6日 (火) 06:04