話題作、きのう独りで見てきた。コーラスの練習の前に京都二条のシネコン・大スクリーンで。中央の席をネット予約で確保し~便利な時代になりました~上映時間ぎりぎりに到着。土曜日の午後とあって満席状態だったが、新しい施設のようで、席はゆったり。前の人の頭を気にすることもなくじっくり作品を鑑賞することができた。
松山ケンイチは「ワタナベ君」の雰囲気が出ていてなかなか好いではないか。訥々とした語り口が村上小説のイメージにぴったり。ちょっと変わった女の子「緑」役の水原希子、彼女には参った。美しい。ルックス、声ともに~僕の個人的好みでもあるのだが~キャラクターにはまっている。現役モデルだそうだが、よく監督が見つけてきたものだと思う。「ハツミさん」役も悪くない。ちょっとお姉さん過ぎる感は否めないが、「永沢さん」の恋人役で「お嬢さん」っぽさが出ていて好演。
「永沢さん」や「キズキ」は映像的に「おっさん」過ぎる。この「青春の愛の物語」を役者が演ずること自体に限界があるだろうなぁ。舞台にしてもそうなんだろうが… 「直子」役の菊地凛子はかなり僕のイメージからはずれている。もっと清楚な感じかなぁ、って思いこんでたんだが… 二十歳の女の子なのだが、画面がアップになると、ヴィジュアル的にも「どうなんかなぁ?」と思う。たしかに、激しく泣いたりする演技は「さすが役者」と思うんだけど…
あと、「レイコさん」は期待してたんだけど、中途半端な気がする。霧島れいか、雰囲気は出ているのだが、内田樹センセイがブログに書いているように脚本のため「エロいおばさん」のようになっている。彼女が精神を病むきっかけになった少女のエピソードが割愛されたり、東京にワタナベ君を訪ねてきたシーンも、一緒にインスタントラーメンをすすった後、SEXするだけみたいな描かれ方をしている。これは残念。
雨のシーンが多い。部屋の窓から見える雨、屋外の自然の中での雨や風、そして雪。無音との対比が良く効いた音響。そして音楽が良い。室内楽やBBCオーケストラの演奏を含めて。静かなシーン、激しい盛り上がりも美しい映像と共にうまく表現していると思う。これがトラン・アン・ユン監督の狙いだろうね。WSJ紙のインタビューによると、「台詞の間に音楽を入れるのが好きなので、長めの台詞が好きだ。短い台詞の場合はリズムになってしまうが、長い台詞の場合はメロディーにできる。」(ユン監督)とある。
学生寮や学生食堂、学生運動の風景。僕の学生時代は物語の設定から10年ほど後で、通っていた大学では残党が語学の授業時間にビラ配りや演説に来た程度だったが、友人の行っていた京都の大学では、学生運動のため期末試験が中止になってレポート提出のみ、なんて話も聞いた。それでも今から30年以上前の話だ。映画を見て、自分の青春時代を懐かしく思い出した。周りには女性の影は殆どなかったが…
おっ、早速見に行ったんですな。
映画化にあたっては、原作と異なってしまうのはある程度しょうがないけど、
>東京にワタナベ君を訪ねてきたシーンも、一緒にインスタントラーメンをすすった後、
原作では「すき焼き」を食っておる。まあ、細かいことはいいんだけど。
というわけで、見に行くべきかどうか迷っている。結局、この映画は見るべき? ご意見よろしく。
投稿情報: つのぶえ | 2010年12 月19日 (日) 19:31
映画ならではの画像・音楽を楽しむつもりで見に行ったら良いと思います。全体として村上ワールドを損なっているとは思わない。ミドリは原作のイメージより魅力的すぎるかも。
ちなみに、エンドロールで撮影協力にK高校とともにW大の名前も出ていました。当然そうだろうけど…
原作本は本日午後に読み始め、まもなく上巻終わり。読了したらブログ記事にしたいと思います。
投稿情報: inukshuk | 2010年12 月19日 (日) 22:09