見つけました! 図書館で!! 村上春樹が『文學界』で発表した短編のことです。
昨年12月に借りた『文學界』のバックナンバーを返却した際にもう一度もっと古い号を探したら、2018年7月号に「村上春樹 三つの短い話」が載っていた。最新短編3作同時発表、とある。
まず『石のまくらに』:書き出しは、「ここで語ろうとしているのは、一人の女性のことだ。」
「僕」が19歳の頃にアルバイト先で知り合った20代半ばぐらいの女性との話。本名は不詳だが「ちほ」という名で短歌を作り、ひょんなことから一夜をともにする。「僕」の手許に残っているのは、後日郵送されてきた『石のまくらに』と題された私家版の歌集。全部で42首が収録されているが、その一つが、
石のまくら / に耳をあてて / 聞こえるは
流される血の / 音のなさ、なさ
この記事を書いている僕には短歌の心得はないが、なんとなく寂しい感じがするね。
一夜限りの男女の交わりをこんなふうに小説にできるんだ! という春樹の一編。楽しめたよ。
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