梓澤 要(あずさわ かなめ)著(NHK出版)2017年10月発刊の書き下ろし作品を図書館で借りて読んだ。
ある方のブログで取り上げられていたので興味を持って昨年末に予約し、年明けに借りることが出来た。江戸時代のお話しだが、鈴木其一が活躍したのは文化・文政、天保・嘉永・安政という幕末近くの頃。日本史に疎い僕でもなんとなく分かる時代で、「ふむふむ」と感じながら読んだ。其一が師匠である酒井抱一に入門する場面から物語が始まる。ある程度の考証を経てのフィクションであろうが、結構のめり込んで読んでしまう小説だなぁ。ちなみにいわゆる「時代小説」はほとんど読んだことがないし、梓澤要という小説家も知らなかった。最後は大老の井伊直弼まで登場する。
人間関係を描く人物描写が巧みですね。それと、当然ながら絵の描写も。尾形光琳や酒井抱一は随分前から知っていたけれども、鈴木其一を見たのは昨年初めに京都の細見美術館で見た展覧会が初めてではなかったか? 残念ながら「朝顔図屏風」は京都に来なかったけれど、「夏秋渓流図屏風」の色遣いには驚いたものだ。そもそも近代の日本画に興味を持ったのはここ3~4年前からのこと… 酒井抱一の夏秋草図屏風を奈良の大和文華館で見てその渋さに感激したっけ。
細見美術館では新春から「はじまりは、伊藤若冲」と銘打って展覧会が催されている(もちろん見に行った)が、3月からは抱一と其一の江戸琳派展が開催される。今回は図録などである程度の予習をしてから見に行こうかと思っている次第。
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