先日、京都北山の書店で『風の歌を聴け』と一緒に買った『1973年のピンボール』の文庫本。これも一日で読み通した。村上春樹の全集で何度か読んでいるので、ときおり「ふむふむ」と思い出しながら・・・
「僕」と双子の女の子の話は結構覚えていたのだが、半年間アパートの電話を取り次いだ女子学生のエピソードは「そうだったっけ」、だった。翻訳事務所の若い女の子はセーターの綻びも繕ってくれたし、 彼女の話を食事しながら聞いてあげたりしている・・・ そんな時代だったんだね、1973年頃は。
「鼠」の章は興味深く再読した。タイプライターを譲ってもらった女性についての描写、彼女との関わり。海や街の描写。「僕」の章とのトーンの違いが鮮明だ。そして『風の歌を聴け』のストーリーとオーバーラップする。
ピンボールを巡る物語があって、「鼠」も双子の女の子もどこかに行ってしまう。結局は何が言いたいんだよ・・・ という読後感。前に触れた加藤典洋氏によると「失敗作すれすれの危なっかしい小説」である。
またぞろノーベル文学賞について村上春樹の下馬評がどうだこうだ、というのがマスコミに出てきている。でも、Haruki MURAKAMI はたぶんノーベル賞は取れないんだよなぁ、これが。
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