ことしのブログはお酒の話題ではなく、映画の話題でスタートすることにしよう。タイトルの映画には以前から興味があって、加入しているケーブルTVの映画チャンネルで9月に放映されたのを録画していた。その後、何度か見ようとして、冒頭部分だけ見たこともあったのだが、ちゃんと全編を見たのはお正月になってからだ。といっても、前半を2日、後半を3日の早朝と二日に渡ってようやく見通したのだが…
この映画、2009年の作品で、主演女優のケイト・ウィンスレットがオスカーを獲得したということだ。彼女は僕がカナダ在住時代の1997年にジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』でレオナルド・デカプリオとともに若き恋人たちを演じ注目を集めたが、この意志の強そうな女優が僕は好きだなぁ。ちなみに『タイタニック』はVHSテープ2本組を購入して持ち帰っているし、関連する音楽CDも複数枚持っている。たとえば映画の中で出てくる弦楽四重奏の曲が入ったものとか…
さて、『愛を読むひと』という邦題は日本流の意味不明な付け方で、原題の "The READER" (朗読者) が本質を表している。原作本は読んだことがないのだが、映画前半のマイケルがハンナに出会い、性に目覚めるシーンは強烈だ。そしてマイケルがベッドでハンナに文学を読んで聴かせる、という物語の伏線が…
後半の法廷の場面でハンナの秘密が暗示される場面で、ぼくも「そうか!」と心の中で手を打った。ナチスドイツの親衛隊、ユダヤ人のホロコーストなど、近代ヨーロッパの醜い歴史を踏まえての物語である。法科学生であり後に弁護士になるマイケルとともに「人間の善悪」とは何であるかを考えさせられた映画であった。また、様々な運命に翻弄されながら生き続ける人々のことを思った。
そして、ラヴストーリー。若い頃にベッドの中で彼女のために読んだ本を朗読してテープに吹き込み、刑務所に送り届ける"The Reader"。そして保釈直前のハンナとの再会と物語のクライマックス。エピローグが淡々と語られ、僕の好きな映画の1本となった。
映画は見ていませんが、映画化されるすこし前、「新潮文庫の100冊」にはいっていたことがきっかけで、原作(翻訳ですが)を読みました。ハンナの自殺の後、院長が「私は今、腹を立てています、あなたにも、ハンナにも」と語る言葉、アメリカへ渡った遺族へハンナの貯金を届ける姿、忘れられない一冊です。是非、原作もお読みください。
今年もよろしくお願いします。
投稿情報: 平田陽一 | 2012年1 月 4日 (水) 08:23
平田さん、いつもコメントありがとうございます。今年もよろしくお願いします。
院長のその言葉は映画では無かったように思います。
アメリカへハンナの貯金を届けるシーン、彼女も母とともにナチスに迫害・収容されたユダヤ人の生き残りなのですが、マイケルとのやりとりがとても印象的でした。
人間の善悪、正しさって何だろうかって…考えてしまいます。
ところで昨日(1/3)BS朝日でドキュメンタリー番組「戦場の花 東京ローズ」の再放送をしていました。アイヴァ戸栗郁子は運命の綾に絡め取られ日系二世としての半生を台無しにしてしまう。アメリカ側の謀略もあり重大犯罪人にでっち上げられるんですね。後に死の数ヶ月前、愛国者として完全に名誉を回復されたのが救い。
この東京ローズの話はハンナの法廷シーンを思い起こさせました。人が人を裁くとは… 僕はとてもその方面には進めないですね。陪審員も(日本では裁判員か)務まりそうにない。
原作本も是非読んでみたいと思います。
投稿情報: inukshuk | 2012年1 月 4日 (水) 09:17