あれから4日経つが、ときどき映像が目に浮かぶ。若松監督が意図するところであろう、繰り返し出てくる場面がある。中国戦線で日本人兵士が民家に火を放ち、逃げる若い女を捕まえ強姦する。そして、事が終ったあとで殺してしまう。炎の中のシーン。その後、敵陣攻撃で負傷し四肢を失い名誉の勲章を授かる主人公の「軍神」黒川久蔵もこのシーンに出てくる。(これが寝苦しい夜に浮かんでくると、ちょっと辛い)
最初は久蔵を怖がっていたものの、次第に「軍神」の身の回りの世話をする妻シゲ子のペースで夫婦の生活が営まれるようになり、自分では食べることも性行為もできない久蔵の頭の中でこの強姦シーンが繰り返し蘇る。そして、日本のポツダム宣言受諾・終戦とともに映画も静かなクライマックスを迎える。そのあと「死んだ女の子」が流れ、エンドロールが・・・
戦争の醜さ、人間の愚かさ、女の強さ、そんなものがメッセージとして伝わって来たような気がする・・・
ところで、十三の駅から手を繋いで「キャタピラー」を見に行ったあのカップルは、映画を見終わった後、何を語りあったのだろうか? 人ごとながら興味のあるところだ。
普通カップルで見る映画なら、もっとロマンチックな映画と相場が決まっているように思えるけれど、そんな重い内容の映画を見るなんて、ある意味すごいですねえ。自分ではまず、考えられない。
これは想像だけど、2人で協議の上行ったのではくカップルの一方が見に行きたいと言ったので他方がついて行ったんじゃないかな。
最近の戦争映画は、描写が何ともリアルすぎて自分としてはちょっと見るに堪えない、といった感じがするんだよねえ。
投稿情報: つのぶえ | 2010年8 月20日 (金) 06:37
熟年カップルで、駅の改札で駅員さんに映画館の場所を聞いていました。僕と同じく映画の前評判を聞いて「これは見ておかないと」とどちらかが言い出したんだろうなぁ。
梅田のような繁華街ではなく「十三」という場所柄か上映前に舞台挨拶があるというのに意外と混んでませんでした。さすがに挨拶が始まる前には満席になり、「立ち見」ではなく脇に座り込んで見ている若いカップルもいましたが。だいたい女性は友人と一緒に、独りで来るのは大抵が男性、という感じかな?
寺島しのぶの演技、見ごたえありますよ。
投稿情報: inukshuk | 2010年8 月20日 (金) 09:48