いまブラームスの合唱曲、それも後期の作品104「混声合唱のための5つの歌」に取り組んでいる。今まではこの手の濃厚なロマン派の合唱曲は苦手だったのだが、歌い込んでいるうちに免疫ができたのか苦手意識がなくなり、最近ではその良さがわかってきたような気がする。
その中でも、第4曲「失われた青春」(Verlorene Jugend)、第5曲「秋に」(Im Herbst)は心に染み入る名曲である。「失われた、、」で過ぎ去った青春を惜しみながらも、終曲の「秋に」では近付いてくる人生の終末を受け入れようとしている。ブラームス、55歳の時の作品らしい。彼は、なんと、生涯独身を貫き、65歳を前に肝臓がんで亡くなったとのこと。
"Im Herbst" はブラームスの合唱曲中で「最高傑作」といわれるらしいが、歌う方としてはピッチがとりにくい難曲だ。とくにテナーは臨時記号がたくさん出てくる。転調した後の後半の盛り上がりは何とも言えないほど素晴らしい。そして、ダイナミクスの付け方も難しいなぁ。f で最高潮に達したあと、p で消え入るように歌い終わるのだ。演奏会で歌い終えたあと、「溢れ出る至福の涙」を味わうことはできるだろうか?
でも、こんな濃厚な合唱曲を歌ったあとは、あっさり系の曲も聴いてみたい。ワルツ集「愛の歌」 Liebeslieder-Walzer, op.52 と 「新・愛の歌」 Neue Liebeslieder, op.65。4手のピアノ伴奏つきの歌曲・重唱曲集であるが、男声合唱で歌ったこともある。今夜にでも久しぶりに聴いてみよう。
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