村上春樹の「1Q84」の後、カフカを読んだ。図書館で借りた岩波文庫で、とりあえず「変身」を。かつて読んだつもりだったが、冒頭の主人公グレゴール・ザムザがなにやら虫になるところを読んだ覚えはあるが、最後まで読んでいなかったのかもしれない。「改訳」とあるこの文章は読みやすく、2~3日で読み終えた。「1Q84」の後ではどんな物語の展開にも驚かないのかも知れないが…
主人公の様子だけでなく、同居する家族の様子の描写が面白いですね。とくに、妹のグレーテが最初は親身に兄の世話を焼いていたのが、徐々にぞんざいになり、最後は早くいなくなって欲しいと望む… そして、グレゴールが死んだその日、家族は銘々の職場宛に欠勤届を書き、みんなで楽しげに郊外へ散策に出かける… 30年前、これをしっかり読んでいたら、相当ショックを受けていたかも知れないなぁ。
読後、光文社新書の池内紀著「となりのカフカ」を読む。カフカ入門書とのことだが、とても面白い。カフカは生涯、独身で、ただモテなかったわけではなく、婚約破棄をするなどして、自らそういう道を選び、結核のため41歳でこの世を去ったとある。保険公社勤めのサラリーマン。午後に勤めが終わった後、自室で文章を書き、あるときは(遠く離れた、一度友人宅で会ったきりの)女性に対しストーカー的に手紙を連日のように書き、また、休暇を保養地で過ごし小説を執筆したという。とても興味深い生き方ですなぁ。
19世紀終わり頃チェコのプラハに生まれ、第1次世界大戦中の世界を生きた裕福なユダヤ人。両親の経営する「カフカ商会」のカラスの紋章が村上春樹の「海辺のカフカ」の装丁に使用されていたようである。これまで何となく知っていたようなカフカだが、かなり親しみが沸いてきた。他の小説も読んでみようか…というところである。
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