最初からじっくりと読み直している。原典と読み比べているわけではないが、忠実に現代語訳されているのではないか。挟まれている和歌には注釈も付いているのがうれしい。当時の人は(この物語を読むような宮廷人は)古今和歌集など諳んじることができて、解説も何も不要だったんだろうが…
『若紫』の冒頭部分は高校の古文の教科書に出ていたのを良く憶えている。「いぬき」が雀の子を逃がしてしまったくだりは特に…
しかしあれですね。18歳の源氏の君がのちに「紫の上」と呼ばれる10歳ぐらいの少女を「思いを募らせる女性(藤壺宮)に似ているから」と無理やりに自分の邸宅に連れて帰る ~しかも実父が引き取ると聞いたので、それはまずいとその日の明け方に~ というのは今では犯罪行為でしょう。児童誘拐・拉致監禁、まぁ虐待行為はしていないのですが…
それに自分の父(それも帝)の(何人目かの)妻と姦通してしまい子どもまでもうけてしまう。彼女・藤壺宮に心を寄せる理由が「自分の母とそっくり」と人がいうから、というのも全くもって身勝手な話だ。ただ、これも物語全体の『テーマ』ではある。
ところで、女性との目的行為達成ためには宮様/姫君お付きの女房が「手引き」をすることが必要で、「手引き」自体は当時の常識だったようですね。王命婦とか右近・少納言とかいろんな女房が物語のバイプレーヤーとして登場する。
どこかで出てくるが、源氏の君には『私は何をしても許される』という慢心があるのですよね。ところが、あるとき状況が変わって都を追われ須磨・明石での蟄居ということになる…
しかしまぁ、読んでいて楽しい長編小説です。この現代語訳も素晴らしいと思う。
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