奈良のアカペラ・アンサンブルでドビュッシーの『シャルル・ドルレアンの3つの歌』に取り組んでいるのだが、その参考音源の一つとして昔買ったLPをカセットテープにダビングしたものを部屋の片隅で見つけた。歌っているのはエリック・エリクソン指揮のストックホルム室内合唱団。これをPCでデジタル形式に変換して他のメンバーに提供することにした。 指揮者のエリクソン氏について念のためネットで情報確認すると、先月2月16日に95歳で亡くなったとの訃報に接した。「合唱の神様」と称される巨匠であり、僕にとってもなじみ深い音楽家である。どうか、安らかに、とお祈りしたい。
男声合唱出身の僕は混声合唱を始めて間もなくの1984年、初来日したスウェーデン王立男声合唱団「オルフェイ・ドレンガル(OD)」を大阪のザ・シンフォニーホールまで聴きに行った想い出がある。終演後、ロビーでLPを2枚だったか購入し、大男(ODのメンバー)に握手してもらったり、LPジャケットにサインしてもらったりした。奈良の合唱団の女性と偶然帰りが一緒になって…というエピソードは以前書いたかもしれない。僕が26歳、独身時代のことである。
ともあれ、このコンサートと前後してエリクソン=ODのファンになり、本格的な西洋の合唱音楽を聴くきっかけになった。大阪・日本橋のワルツ堂へ会社帰りに立ち寄り、たまに輸入盤など購入した。冒頭に触れたLP『20世紀の合唱音楽』もおそらくこの頃(1980年代半ば)に買ったものだと思う。結婚してからも小遣いの中からやりくりして輸入楽譜を梅田のササヤ書店で買っていた。このレコードに入っていたドビュッシー、ラヴェル、プーランク、バルトーク、ブリテン…などなど。ここ数年で、これらの曲を演奏することになったのは運命だろうか。
さて、昨日ネットでエリクソン氏の記事を検索していたら、氏の生前の映像がスウェーデンのサイトで見られるとのこと。ここで紹介させてもらう。
http://www.svtplay.se/video/1045545/eric-ericson-och-od
彼へのインタビューとODの1985年7月13日の"CAPRIS CONCERT"の模様だ。コンサート冒頭はメンバーがグレゴリアン風の曲を歌いながら僧服姿で登壇するが、これがODのテーマソング 『オルフェイ・ドレンガル賛歌』かな? エリクソン氏も口を動かしている… スウェーデン語を解さないのでほとんど意味が分からないが、28分過ぎから海水パンツ姿になったODによりサン=サーンスの "Saltarelle" が歌われる。彼らお得意の曲。
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