その "The New York Times Magazine" の村上春樹へのロング・インタビュー記事をWebからプリントアウトして読んでみた。読みやすい大きなフォントで12ページ分ぐらいになる。
Sam Anderson という『ニューヨーク・タイムズ』に寄稿する著名な書評家による「ムラカミの東京」探訪記みたいな形になっている。八月だろうか、真夏の東京にニューヨークから来たそのインテリ・アメリカ人は「カルチャー・ショック」を受ける。なぜなら、それは彼が想像していたコスモポリタン都市”TOKYO"ではなく、われわれ日本人が当たり前に感じるままの日本の首都「東京」そのものであったから。彼は最初に平日の朝の東京の地下鉄で洗礼を浴びる。どこまで切符を買っていいのかも分からないのに誰も英語で助けてくれない。地上をさまようものの、最後は村上のアシスタントに迎えに来てもらうはめになる…
村上とは通訳を介さずのインタビュー("He dislikes speaking though a translator.")で、"Murakami speaks excellent English in a slow, deep voice."とある。彼の話す英語にはクセがあり抑揚は激しいが、互いに理解困難なことはほとんどなかったそうだ。
朝日新聞に記事でも紹介されていたが、長編小説『1Q84』の下敷きになっているのは村上が若い頃に書いた『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』で、これを長くしただけだ、と彼が語ったとか。ふ~ん、『4月の・・・』は1983年刊行の短編集『カンガルー日和』に入っていて僕も初版を持っているが、元々はある雑誌のために1981年頃に書かれた文章だ。400字詰めの原稿用紙で10枚ほど。まぁ、村上の話を100%そのまま受け取るのもどうかと思うが、「十代の少年少女が十数年後に街角ですれ違う」というお話(作中話)が入っている。
タイムズ・マガジンの記事ではムラカミのプロフィールも(生い立ちや神宮球場でデイヴ・ヒルトンの二塁打を見て"epiphany(神の顕現)を得たというエピソードも含め)書かれているが、驚くべきことにサービス精神旺盛なムラカミはアンダーソン氏を自分の車に乗せ首都高速3号線の例の非常階段の場所に案内したり、神奈川県(大磯)の自宅に招き書斎でインタビューを受けたりしている。さらに自宅の近所を一緒に走ったりしているのだが、かつて若きムラカミが翻訳者としてニューヨークのセントラルパークでジョン・アーヴィングと一緒にジョギングしたことがエピソードとして紹介されている。
村上春樹ファンとしてとても興味深い記事でした。英語が読める方、ぜひ www.NYTimes.com を訪れてみてください。トップページの下の方に "MAGAZINE" のコーナーがあり、もう最新号ではなくなったけど、しばらくの間はバックナンバー(10.23.11号)として閲覧できると思います。"Interactive Feature"では新宿「中村屋」本店も出てきますよ!
N.Y.Timesがこんな風に読めるようになっていたんですね!インクの質が悪くて毎日手が真っ黒になっていたのに、、、。さっそくコピーして読ませていただいてます。でも、インタビュアーのSAMは中村屋まで行ったのなら、すぐ近くのDUGにも行けばよかったのに、、、。
投稿情報: 平田陽一 | 2011年10 月30日 (日) 23:09
平田さん、コメントありがとうございます。僕もN.Y.Timesは宅配で購読していました。日曜版はなかなか読み切れませんでしたが… 日本でいうとお正月の特別版が毎週末あるという感じでしたね。
僕は東京の夜はあまり知りません。若い頃、昼間に神田や渋谷を何度かブラブラしたぐらい。NYも夜はリンカーン・センターやカーネギー・ホール辺りしか知らないです。もし、お会いする機会があれば、O君と一緒に都心の飲み屋など案内してくださいね!
投稿情報: inukshuk | 2011年10 月31日 (月) 00:01
今、残っているDUGは「ノルウェーの森」当時のDUGではなく、1977年オープンのNew DUG。小生が知っているのもこちらのほうなので、Misleadingなことを書いてはいけないですね、訂正させてください。店の変遷がホームページに書かれていて、面白いです。(DUG 新宿、で検索するとでてきます)
東京にいらっしゃる機会があれば、是非、ご一緒ください。
投稿情報: 平田陽一 | 2011年10 月31日 (月) 07:09