高校2年生になって、ぱっとしない僕の学生生活に転機が訪れた。2年生から大学受験準備のために文系・理系のクラス分けになり、文系を志望した僕は晴れて男女ミックスの「2年2組」になった。さっきアルバムを見たら、男女が21:28で女子の方が多い。別に特定の女の子と仲良くなった、というわけではないのだが、クラス全体として「みんな仲良し」みたいな雰囲気があった。まだ受験がせっぱ詰まっていないし、秋には信州への修学旅行があった。
さて、この1975年、ポール・サイモンは3枚目のソロ・アルバム "Still Crazy After All These Years" を発表する。このアルバムではアート・ガーファンクルとの久々のデュオ曲 "My Little Town" が話題となったが、いまだにFM局で時々流れるのは "Still Crazy ...," "50 Ways to Leave Your Lover" みたいなちょっとアダルト・オリエンテッドな感じの曲だ。今聴いても色あせず、すごく素敵だと思う。高校2年生の僕はちゃんとした恋愛の経験もないのに、そんな曲の雰囲気がわかったつもりでいた。
そして同じクラスには、ちょっと大人っぽい感じのYさんという女の子がいた。当時の田舎の学校のことだから化粧っ気など全く無かったのだが、黒髪と瞳のきれいな色白の子。もう一人の「進んだ感じ」の女友達とQUEEN(この頃メッチャ流行った!)などのブリティッシュ・ロックの話をしていたと思う。何がきっかけだったか憶えていないが、時々Yさんと音楽の話をするようになった。YESの話(彼女は中学3年生の時に同級生の男子と学校を休んで来日公演を聴きに行ったらしい…)やS&Gの話(僕は高1でポール・サイモンをフェスティバル・ホールに男友達と3人で聴きに行った。立見席でたしか3000円。このとき初めてマクドナルドのハンバーガーを食べた)をし、"Still Crazy..." のLPを貸してあげたことも… "50 Ways.." を一緒に歌っていた Phoebe Snow (彼女のアルバムも買った気がする)はつい先日亡くなってしまった。その訃報にふれ、Yさんのことをまた思い出したのだが。
Yさんのほうも僕に少し気があったようなのだが、僕がぐずぐずしている間にたいした進展のないまま終わってしまった。彼女も無口でおとなしく似たもの同士(当時は僕もそうだった)、かえって上手く行かないものだ。高校卒業後、僕が予備校生時代に大学生の彼女を誘ってデートみたいなこともしたんだけど、やっぱりダメだった。3年ほど前だったか、その2年2組のクラス会に彼女も東京からやって来た。もう中年となって互いに子どもも大きくなった我々は当時のこと、その後のことを屈託なく話したのだが、彼女は昔以上にきれいになっていて僕は "Still Crazy" な気持ちだった。彼女はきっとそうじゃなかったと思うけど、二次会には行かず実家に帰るという彼女とホテルのロビーで握手をして別れた。また会えるかなぁ…
村上春樹の「アンダーグラウンド」のトップ、覚えてますか?たしか「どの公立高校のクラスにもこういった女の子が一人はいたものです」、そんな書きぶりだった気がします。くれどさんが書いている方とはタイプが違うかもしれないですが、、、。
投稿情報: 平田陽一 | 2011年9 月24日 (土) 08:20
どこかでそんな書き方をしていましたね。
おそらく彼女の方が僕より早熟だった気がします。でも自分からは行動を起こすタイプじゃなかった。誰かに引っ張っていってほしい、という感じだったかな。
投稿情報: inukshuk | 2011年9 月24日 (土) 10:26