4月に入って会社の仕事が断然忙しくなった。3月は以前の記事にも書いたとおりコーラスのステージがあったり気ぜわしく過ごした。そんなこんなで標記の本は公立図書館で借りたのだが、ひと月ぐらいかかってようやく読了した。
なかなか集中して本を読めないたち(何しろ毎晩お酒を飲み、休日には昼間っから飲ってしまう…)なので、面白い本だと思いながら遅々として読み進めなかった。ところが週末、土日続けて電車に乗る機会にかなり進度がアップ。最後は日曜日の夜、ワインを軽く飲んでいたが、TVをやめてベッドの上で最後まで読み切った。
まづ、この小説は旧仮名遣いで書いてある。フランス語なども字面と発音が一致しないが、旧仮名遣いも慣れてみるとかえって日本語として読みやすい気がしてくるから不思議なものだ。それだけ丸谷才一の文章が上手いのかもしれない。新聞のコラムなどは読んでいたのだが、こんな長編小説を読むのは初めて。
物語が何層もの構造になっていて、ぐいぐいと引き込まれる展開。本当なら一週間で読んでしまうんだろうなぁ。文学の講義を小説仕立てにしたようなものだが、メインの「源氏物語」が出てくる前にシェイクスピアの「ハムレット」が出てきたり、松尾芭蕉は「奥の細道」を書くためになぜ東北に旅したのか、、とか。そういうのを主人公の19世紀文学研究家の女性などに語らせている。この主人公の年齢設定が僕と同じ生まれ年なので、
”一九八七年は昭和六十二年、卯年である。 一月、中曽根首相が施政演説で…”
などという記述も興味深く読んだ。
個人的に「源氏物語」には興味があり、過去何度か読んでいるのだが、「輝く日の宮」という章が最初の「桐壷」のあとにあったが、何らかの理由で削除されてしまった、という推論が展開され、とても面白かった。
「源氏物語」は光源氏という宮廷時代のプレーボーイを中心とする大ロマン小説。中年になっても頑張っている男の超大河ドラマですね。数々の女性と関係して羨ましい限り。また読み返してみたいと思っている次第…
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