昨日 7/18(日)住友生命いずみホールでの演奏会 <現代(いま)の音楽 ~Music of Our Time~> シリーズ Vol. 30 を聴いてきた。
演奏会チラシを何かの折に見て、早期割引でA席券を 3000円で入手したもの。ちょっと敷居が高い感じの演奏会だが、メインは Francis Poulenc の『人間の顔』 "FIGURE HUMAINE" である。ポール・エリュアール Paul Eluard の詩による無伴奏二重混声合唱団のためのカンタータ。オンステージメンバーは50名弱、指揮者の当間修一氏による指導を受けた精鋭どころ、久々に素晴らしい演奏を聴いた。
振り返れば、エリック・エリクソン指揮によるスウェーデン室内合唱団の録音を聴いて以来、この曲のファンになり、1980年代に心斎橋のヤマハで輸入版の楽譜を買っている。当時の輸入楽譜は高価で4000円ぐらいで買ったろうか? 当初の音源はLPレコードだったはずだが、カセットテープにダビングしたものを駐在先の北米でも繰り返し聴いたので大体のラインは耳に残っている。なんといっても終曲の "LIBERTÉ" (自由)が圧巻!なんと20連の歌詞を歌い繋いだ後、最後に僕が色々な物に書く君の名前(ton nom)が明かされる。<その名前を知り、呼ぶために生まれて来た>とさえ云うのだが、それが "Liberté" であり、曲ではソプラノ・ソロ(たち)によってハイCより高いEで Ah! と叫ばれる!!
この日聴いたような素晴らしい演奏は今まで生で聴いたことがない。よっぽどのメンバーが揃わなければこのレベルの演奏ができない。終演後に指揮者/主宰者が聴衆に語ったように、コロナ禍にあって、これほど歌うのにふさわしい曲はないであろう。このカンタータは第二次世界大戦中、レジスタンス運動下のフランスで1943年の夏に完成し、プーランクから「その作品と人生を敬愛するパブロ・ピカソに」として献呈されている。
アンコール曲として最後に木下牧子作曲の『鴎(かもめ)』 詩は三好達治による。これも素晴らしい曲だ。「ついに自由は彼らのものだ」と歌われる。帰宅してからAmazonで見つけたCDを購入(今週中に届く)。もちろん演奏者は当間修一指揮の大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団である。
なお、この日の演奏会では第1ステージでは寺嶋陸也氏の沖縄音楽に素材を採った、混声合唱のための『おもろ・遊び』が演奏された。ステージ演出が工夫され、朝・昼・夕の音楽を表現していた。
第2ステージは千原英喜氏のパロディ・ミサともいえる、日本古謡による女声三部合唱のためのミサ曲『日本、とこしえに美しく』。日本古謡のみならず、『蛍の光』までがテーマとして現れる。テキストはミサ典礼文だが、最後の "Ite, missa est" は聴き馴染みがない。
休憩までにパイプオルガンで一曲、フランスの現代作曲家 ティエリー・エスケシュの オルガンのための『エヴォカシオン』が亀井優さんによって演奏された。
やはり生で聴く音楽は素晴らしい。とくに合唱はそうだ。コロナ禍のなか素敵な午後が過ごせた。自分が生きながらえていること、周りの皆さまに感謝しよう。
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