ついでに午後の混声合唱の部も続けて書いておこう。年齢制限・人数制限なしの謂わばコンクールのメイン・イベント!!
ユースや室内合唱と違って、歴史ある実力派合唱団・謂わば「古豪」の顔ぶれが多い。例えば1番は宮城の「グリーン・ウッド・ハーモニー」。G1 の Byrd "Agnus Dei" に続いてパウル・ヒンデミットの曲を4曲。20世紀現代音楽の古典ですね。コンクールの場ではこのような名曲を最上レベルの演奏で聴ける。グリーのT先輩曰く、コンクール全国大会はコーラスの「メッセ」である、と。堂々とした演奏でしたが銀賞。
2番は東京代表、雨森文也氏指揮の "Cantus Animae" 以前、といっても6~7年前の8月に「お江戸コラリアーず」の演奏会と連チャンで東京まで聴きに行った。お盆休み前だったけど、台風が来てたのか?妙に涼しかったのを憶えている。CAは杉並公会堂で、江戸コラは文京区シビックホールだったかな? "Agnus Dei" から一転、宗左近 / 松本望 の~混声合唱とピアノ連弾のための「二つの祈りの音楽」~から「 1. 夜の祈り」。僕の苦手な系統の合唱曲だ。結果は金賞で3位だったけれど…
3番の古豪、愛知のノース・エコーは G2 Schubert, Sandström "The Lord's Prayer", Runestad "Alleluia" で銅賞(間違いじゃないよね?)。4番:新興の神奈川県「合唱団やえ山組」は G2 と Schönberg "Friede auf Erden" これも今や古典。見事にまとめて2位金賞。5番:愛媛の "I.C. Chorale" はちょっと印象薄く銅賞。
6番のパナソニック合唱団は久々の全国大会出場だろう。関西大会は聴いていないが、新日鐵住金を破った Stroope の "We Behold Once Again the Stars" (楽譜を持っていたかな?)はまずまずの出来だったか? 90名以上の大合唱だったが銀賞。続く千葉県の "VOCE ARMONICA" は G1:Byrd と Samuel Barber の "Agnus Dei" 35名と小ぶりながらしっかりとした演奏で金賞だった。ここで休憩。
後半は地元北海道の Baum、福岡の「うたうたい」(またまた高嶋昌二さん指揮)と続く。「うたうたい」は千原英喜作曲の「Agnus Dei = 空海・真言・絶唱」を演奏したけど、一日目の「九大混声合唱団」も取り上げていた。相変わらず千原作品は人気だ。和洋折衷というか西洋音楽の古典に根ざした独特の音楽感は僕も好きだ。京都のアンサンブルで委嘱作品を歌ったこともある。10番の「岡崎混声合唱団」は 高田敏子 / 三善晃作品「嫁ぐ娘に」から2曲歌ったが銀賞。
さて、次の東京代表(というか全国区なのかも?)"Conbinir di Corista" は G2 Schubert と、信長貴富に委嘱したという「静寂のスペクトラム」から 4.とてつもない秋(和合亮一詩)。う~ん、こういう曲もちょっとなぁ… しっくり来ないのですよ 。結果は金賞1位で来年のシード権獲得!!
12番は山形:鶴岡土曜会混声合唱団でテンポの速い Byrd 。そして懐かしい三善作品から「あやつり人形劇場」(谷川俊太郎詩)と「風見鶏」(高田敏子詩)を演奏したが、残念ながら銅賞だった。そして岡山の「こぶ」は G2 と、信長貴富作曲「ぼくの村は戦場だった~あるジャーナリストの記録~」からメッセージ性の高い曲を演奏したが、審査結果は銅賞。でも、全国大会の舞台で演奏できるだけでもたいしたものだよね。
そして最後は我が奈良県(まぁ本籍だけかもしれないが…)の "Chœur Chêne" の登場。最近人数が増えて50人以上の合唱団になった。僕には完璧に聞こえた Byrd の "Agnus Dei" 。そして、Brahms の ”Nachtwache II" (夜警)と Max Reger の "Trost"(慰め)。素晴らしいハーモニーを聴かせてもらった。周りの反応を見ても、「長かった一日の戦いの終わりに、シェーンベルクやヒンデミットではなく、ドイツ・ロマン派のブラームスとレーガーを聴けて良かった」というほっこり暖かい気分でいるのがありありだった。僕も金賞間違いなし!の演奏に満足をして、メール・チェックなどの後、ゆっくりと退出しようとしたら、演奏の後、記念撮影後の和やかな雰囲気の"Chœur Chêne"の面々の姿がロビーにあった。楽屋に戻ろうとしている指揮者の上西一郎氏に不躾にも「奈良から聴きに来ました。伊丹の関西大会の演奏を聴けなかったけれど、今日の演奏を聴けて本当に良かった」と声をかけた。上西さん、立ち止まって聞いてくれました。僕が奈良と京都で歌っている合唱愛好家だという認識はなかった(じつは10年近く前に奈良であったイベントの打ち上げで少し話をしているのだが…)と思うが、またお会いする機会があれば、是非もう少し合唱音楽について話したい。
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