タイトルの「クラヴサン」 (clavecin:フランス語) だが、英語では「ハープシコード」(harpsichord)、ドイツ語では「チェンバロ」(Cembalo)=おそらく、これが一番なじみのある呼び方だろう。中野振一郎氏は世界的なチェンバロ奏者で、京都出身ということだが、現在は奈良市在住のはずだ。そんな縁からか、近年は毎年「大和文華館」主催の「華コンサート」と称するシリーズに出演している。彼の公式HPにも今回の公演について記事が出ていた。↓
http://nakano-shinichiro.com/concert2/%e3%80%90%e5%85%ac%e6%bc%94%e6%83%85%e5%a0%b1%e3%80%91%e5%91%89%e8%b6%8a%e5%9b%bd-%e8%a5%bf%e6%b9%96%e3%81%ab%e8%82%b2%e3%81%be%e3%82%8c%e3%81%9f%e6%96%87%e5%8c%96%e3%81%ae%e7%b2%be%e7%b2%8b%ef%bc%8f/
拙ブログで昨年4月に記事にしているが、おととし秋の中野氏のコンサートでは駐車場で縦列駐車をするほど混んでいた。さて10月22日(土)の朝は結構早く目覚めたので、ゆっくり朝食を摂り、メールチェックなどをした後、奈良市内「学園前地区」の大和文華館に向かった。
到着したのは9:50頃だが、すでに40~50人ぐらいの行列ができていた。駐車場はまだかなりの余裕があるので、ご近所さんが歩いてとか自転車で来られたのであろうか? いわゆる年配の方が中心だ。10時からコンサートの整理券を配布することになっていて、直前に係の人が現れた。そのあいだに行列は伸び、車も増えた。僕は「友の会」のカードを持っているので、それを提示して「整理券」を1枚ゲット!! 裏を見ると番号が印字されていて87だった。150名限定とのこと。あとで考えると「招待はがき(2名無料)」を持って並んでいるご婦人を多く見かけたが、2枚ゲットした人も多くいたのではないか? 小中学生は入館料無料なのでそれで何枚かもらった人もいた? コンサートではそんな子供たちは見なかったけれど…
とりあえず坂を上って館内に入り、「呉越国展」をざっと見た。じつは二週間前、この展覧会の開会イベントに参加し、一時間ほどかけてじっくり観覧している。やはり最初に見たときの感動のほうが断然大きい。30分ほど見てから文華館を後にして帰宅(車で30分以上かかる)し、昨夜の残り物で早い昼食を摂ってから再出動した。
大和文華館到着は12時半頃、駐車場は普通の混み方だった。コンサート開場は12:40だが、すでに行列ができていた。おばちゃんたちがペチャクチャしゃべっている。最後尾は一人で来館しているような細身の中年女性だったが、会場の講堂でも結局となりの席に座ることになった。僕の方がいったん座った席が視界が悪く、彼女の隣が空いていたので移動したのだが… 前から6列目ぐらいの真ん中よりやや右の席。コンサートホールではないので傾斜がなく、前の人の頭なんかで見通しが悪くなるが、いい角度で演奏者の顔が良く見えるまずまずの席になった。演奏が始まって気づいたのだが、彼女は中野さんのかなりのファンのようだ。講堂はリノベーションされたようで、昨春来た時よりもずいぶん内壁が綺麗になり、音響もマシになったようだ。
定刻になって、主催者の挨拶等の後、中野振一郎氏が後扉から登場。「舞台袖」がなくなったようだ。中野さんはおしゃべりも得意なようで、マイクを持ってすらすらと話す。ただし持ち時間が40分と短いので早口気味だ。コンサートのタイトルは「可憐に咲く秋桜」“気まぐれな”ロココの貴婦人たち ~花咲けるクラヴサン音楽~ ということでこの日はフランス風に「クラヴサン」と呼ぶ、との解説があった。
さて、プロの演奏だから当然すばらしく、あれこれ書くこともないが、やはり音楽は生で聴くのが一番、という思いを強くした。この春に聴いたリュートと同じく、弦を弾くクラヴサンは特にそうだろう。小さな会場で聴く宮廷音楽は「おつ」なものである。プログラムを見て気になっていたのが、ジョスカン・デ・プレ作曲「千々の悲しみ」(皇帝の歌)だ。かの天正遣欧使節団が太閤秀吉を謁見した時、この曲が演奏されたのだが、太閤はいたく気に入り、何度も繰り返し演奏させたとか… 僕がいま奈良のアンサンブルで取り組んでいるデ・プレの世俗曲"Mille Regretz"と同じ曲には聞こえなかったのだが、僕の耳がおかしいのだろうか?
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