この本、約一年前に講談社現代新書から出版されているのだが、最近の日経新聞の広告(紙面の下の方に出てるやつ)に興味をもって買ってみた。橋爪大三郎と大澤真幸という二人の社会学者の対談形式である。
僕はキリスト教についてある程度の基礎知識を持っているつもりだが、読んでいて知的好奇心を刺激された。
たとえば「イエスは神なのか、人なのか」という命題に対して橋爪氏はロシアの入れ子人形「マトリョーシカ」を持ち出して説明する。我々のよく知るイエスは一番外側の完成された形であると。そして一番内側の小さなイエスが実在した歴史的なイエスなのだと。そこにいろいろな尾ひれがつき、福音書の物語ができる。最後にパウロがイエスをキリスト(救世主)よりさらに高い「神の子」にしてしまった、みたいな感じ。
一神教についてかなり論じられているが、キリスト教はその基となったユダヤ教や後から出てきたイスラム教と違って「宗教法」(世界の中の人間に対する神の配慮)を持たないのが独特だそうだ。だから自分たちで勝手に法律を作って世俗社会のルールを決めたり、神の業を解明するために自然科学が発展したりする。他の一神教では神が法律を作るので、それに逆らうことができない。この世でいかにふるまうべきかが「宗教法」で定められている。有名なのは「利子が取れない」ことですよね。
これに対してキリスト教徒は「どう生きれば神の意思に沿うことになるのか」と途方にくれ、いろいろ創意工夫をしてきた。そしてその結果、キリスト教世界がグローバル・スタンダードで現代社会をリードしている、という見方。けっこうおもしろい。
僕も最近、「この先、どう生きるべきか」と途方にくれるような感じなんですが、レベルが違うかなぁ?、
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