引き続き漱石全集から『それから』を読んでいる。『三四郎』、『門』とともに三部作とされ、その真ん中に当たる作品だ。字面は旧漢字・旧仮名遣い(※)で、また理屈っぽい書き方をしているところがあるのだが、「こいつは読んだことがある」漱石らしいイメージの小説ですなぁ。半分ほどまで読みました。
主人公の「代助」はいわゆる「高等遊民」だよなぁ。実家は父・兄が実業(会社)を営んでいて彼は働かず親の脛をかじっているが、文芸・芸術活動をしているというわけでもない。ただ漫然と書物を読み、芸術を楽しむという受け身の生活。そのくせ女中(婆さん)のほかに書生を置き、かつて芸者遊びで金に困った時には実家の兄嫁にツケをきれいにしてもらったという何とも結構な身分である。しかも独身(30歳ぐらいに描かれている)… 羨ましい限りだ。できるのならそんな生活がしてみたい。
さて、話はかつて親交のあった友人の妻「三千代」(これまた別の親友が遺した妹で彼も一緒に遊んだ仲)のために代助が兄嫁からまとまった額の金を借り(貰ったようなものだが)渡した、というところまで来た。話の展開はうろ覚えなので、「あらすじ」を先に見ることはせず、これから読み進む楽しみをとっておこう。
(※)「妙」という感じに「めう」と仮名が振ってある。漢字変換で出てこないが「体」や「旧」の旧字なんかスゴイ。感動を覚えるぐらいである。(台湾ではいまだにこんな漢字を使っているのであろう) それと、漱石は外国語をしばしば使う。この小説では、漢字の当て字ではなくカタカナで「アンニュイ」が登場した。当時はハイカラな表現だったんでせうねぃ。
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