『坊っちゃん』を読み終えたあと、図書館で漱石全集から『三四郎』の入ったものを借りてきた。『三四郎』もかつて読んだのかどうか怪しいし、ストーリーも『坊っちゃん』ほど知らない。
読み始めて、「あぁ、青年が東京の帝国大学(今の東大)で勉強するために田舎から出てくる話だった」と思い出した。名古屋で途中下車したときに、乗り合わせた女性とひとつ布団で寝る羽目になる、なんてエピソードが初っ端から出てくる。この小説はいまから百年も前に朝日新聞に連載された小説でしょうが… 当時としては画期的ではなかったか?
「廣田先生」などインテリの心の内面を描くような人物描写が凄いですね。あと、三四郎のマドンナといっていいだろう「美禰子」(当時の近代的女性として描かれている)や「よし子」(頼りなさをもったお嬢さん)など女性の描写が優れている。それが漱石の得意としたところ? 何となく難しいことを書くようなイメージがあったのだが、今回も意外感を持って読み進んだ。会話調でぐいぐい引っ張っていくところが面白いなぁ。後半、美禰子が物語の中心に浮かび上がってきてからは加速度がついて読み終えた。
ハッピーエンドじゃないんだ。そしてエピローグの書き方が上手いねぇ。"stray sheep"(迷羊)は当時の流行語になったんでしょうか?
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